ホワイトニングの清水歯科医院ブログ
歯の移植
歯を抜いて、顎骨の歯を失った部分や歯を抜いたあとの穴に植えることを『歯の移植』
(正確には『歯の自家移植<じかいしょく>』)といいます。
インプラントのような人工の歯でも他人の歯でもなく、自分自身の使える歯を抜いて、
「ここに歯があれば」という箇所に植え直すことを指します。
自分の歯ですからアレルギー反応を起こすこともなく良く付きます。
インプラントとの違いは歯根膜が存在するため噛み心地が天然歯と同じになるという点。
けれども条件は厳しいです。
まず移植される側の顎が移植しようとする歯の根の幅より大きいこと。
移植する歯は歯周病でない、歯根膜がしっかりした歯であること。
移植する場所にふさわしい歯を移植しなければ長持ちしないということ。
たとえば奥歯に根の細い前歯などを移植しても咬合圧に耐えられません。
健康保険でも移植が認められていますが、条件が3つあります。
もうその歯の治療には限界があるから抜いた方が良いと判断される歯を抜くこと。
抜いたその日に引き続き移植を行なうこと。
移植する歯は咬み合わせに役立っていない親知らずや骨の中に埋まっている歯であること。
ですからもう既に歯がない所への移植は健康保険が適用されません。
親知らずなどがない人も健康保険適用の移植にはなりません。
私も何人かの患者さんに健康保険適用の移植は行ないましたが、
移植箇所が歯周病で周りの骨が十分のこっていない場合には移植歯の付き具合に不安はありますが、
条件が揃えばブリッジの脚の歯としても使えるほどしっかり植わります。
先日初めて保険外(つまり自費)で移植を行ないました。
患者さんは右下第一大臼歯がやや前方にあり、その奥が2本分ほど歯が無いまま長年経た、
70代の女性で、右上は噛む相手のない歯が2本ありました。
右上の一番奥の歯に虫歯が見つかったため、治そうかと思いましたが、
どうせ咬み合わせに関わっていないのでどうしようかと考え、
この歯が下にくれば上の奥から2番目の歯と咬み合うようになるのに、と思い、
「上の一番奥を下に移植したら噛めるようになりますよ。自分の歯だから付きますよ。」と伝えました。
実は私自身、歯の無い場所への移植はやったことがなくて一抹の不安は感じたものの、
つい、「こうなればいいのに」という思いから言ってしまったのですが、
患者さんの方も自費にも関わらず、「お願いいたします」ということで、移植手術にいたりました。
インプラントよりも大変!
なにしろ移植しようとする歯の根がすっぽり入る穴を顎の骨に開けるのが大変!!
穴は根の形にぴったりではないから、移植した歯が抜けないように固定するのが大変!!!
こちらと患者さんの苦労の甲斐あって、移植から1ヶ月過ぎて顎の骨にしっかり植わっています。
もう少ししたら仮歯を被せます。
先日の学術講演会でも、すれ違い咬合(咬み合わさる相手の歯がなくなった顎の状態)に陥ると
そのままではどんどん歯を失っていく経緯をたどると指摘されていました。
インプラントでも移植でも、あるいは入れ歯でも、
とにかく両方の奥歯で噛める状態をとりもどすことが歯の喪失をくいとめるために重要です。